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「名乗る程の者ではございませんので、名前は勘弁して頂けると助かります。」
「左様ですか…」
高松の言葉に少し残念そうな表情を浮かべる梨菜。
その表情に、胸の名札に自分の苗字が書いてある事を一瞬忘れた高松の良心がチクッと痛む。
(気持ちはありがたいけど…
…ね)
内心で呟く高松。
もう少し梨菜に昔の鉄道について聞きたい気持ちもあったのだが、いかに東京駅の駅員が沢山いるとはいえ新人である自分にそんな芸当は難しかった。
(そうだ!
鵜沼先輩にメールしとくか)
梨菜を新幹線乗り場に案内しつつ、巧みに自分の携帯を取り出し鵜沼さんなる先輩にメールを打つ高松。
もちろん文面はこうであった。
『鵜沼さん、突然だけどお願いします。
和服着た小学校高学年位の女の子を駅で見かけたら、力になってあげて下さいm(_ _)m』
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