第4章

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 ――PM9:06――  カメリアには客がそこそこ集まり始めたが、ミアリはなぜかまだ来ていない。 「おい、マスターさんよ。姫は今日はいねぇのか?」 「来るはず、なんですが遅刻です。……俺にもわかりません」 「わかりません、じゃねぇよ。こっちは金払ってやってんだ、姫が来ねぇんなら俺は帰るぜ」  どいつもこいつも姫姫って、ミアリだけが目当てで来ているんならこっちだって願い下げだ。第一、ここはそういう店じゃない。  帰りたければさっさと帰れ。ただし、ドリンク代はちゃんと払って行けよ?なんなら多めに置いて行ってもいいんだぜ?  しかし、ミアリもこれは遅すぎるな。  また何か無駄な気合でも入れて時間がかかっているのか、もしくは体調を崩して来れないのか。ハンターの仕事が長引いているのか……  いずれにせよ、だんだん心配になってきた。様子を見に行こうにも、カメリアを離れるわけにはいかないしな。こんな時、他の従業員がいれば使いっ走りにできるのに。 「あら、せっかく来てくれたのに、そんな寂しいこと言わないでよ。あたしは連絡もなく休んだりしないんだから」  そう言ってベルを鳴らしながらドアを開けたのは、笑顔だがどこか疲れているように見えるミアリ。心配になって時計に目を向けた時だった。  原因は多分、後ろにいる人物だろう。彼女の背後で、大きな人影がユラリと動いた。
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