第1章

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 ――AM7:30――  ピピピッ、ピピピピピピピピピピピピ…… 「ん、んんー……うぅ……」  朝か。  手を伸ばし、枕元でけたたましく鳴り響く目覚まし時計をリセット。起き上がってボーッとしたのち、ダラダラと時間をかけて洗面所に向かう。  大量の冷たい水で顔を洗うと一気に目が覚め、気が引き締まる。  朝食のトースト、スクランブルエッグ、野菜サラダ、ミルクティーを腹に入れて、1階に下りると店の準備にとりかかる。  まだ少しけだるいが、それでも店内を動きまわっている俺の名前は、ツバキ・アステリア。よろしく。  4年前までは、とあるパーティーで結構名高く活躍していたのだが、ある出来事をきっかけにパーティーを抜けた。  21歳となった今では有り金を全て使い果たして、こうして1人でカフェ“カメリア”を経営しているマスターだ。  従業員は俺1人だけ。まぁ、そんなに人気で有名ってわけでもないし、なんとか上手いことやっている。つもり。ただし、全部1人でやっているからものすっごく疲れるがな。  メニュー開発、調理、会計、接客、掃除、帳簿、仕入れ。店のことはもちろん、家事も。あぁ、分身したい。
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