第1章

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 ――AM10:00――  ひととおり店の掃除をしたあと、出入り口の看板をClosedからOpenに替える。  すでにもう休みなのかただのサボリなのか、店の前には女子高校生らしき客が待ち構えていた。俺の姿が見えた途端、カシャッという乾いたシャッター音が響く。 「やめろ。俺は見世物じゃない」  キッと睨んだはずなのに、それが逆に彼女達には「キャー、カッコイイ」らしい。  いつものことなのだが、毎回毎回写真を撮って満足するだけで店には入らないのが鬱陶しい。そんなに写真を撮りたいのなら、報道マンにでもなってしまえ。  いつからだ?俺が若い女子に「クール」だとか「格好いい」だとか言われだしたのは。  ちゃんとカフェの客になってくれれば、おしゃべり大好きな若い女子ならあっと今にこの店の名前を広めてくれるだろう。軽食もケーキも美味いのに。  俺のことは良い、味を広めてくれ。あとな。俺なんかよりももっと、ズバ抜けて格好いいイケメンがいるんだぞ?そいつ、追っかけて店の中まで来い。  店の中に戻りイライラしながらカウンター裏の冷蔵庫の中身を確認していると、1人の青年がドアのベルを鳴らした。 「いらっしゃいませ。今日も早いですね、ルキさん」
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