序章

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頬を撫でる暖かい春の風がなんとも心地良い。 ベランダに椅子を出したかいがあったというものだ。 だが、そんなうたた寝を邪魔するかの様に、わらわらと近所の子供達が集まりはじめた。 その中の1人が村雨を起こしにかかる。 「むらさめー!」 無視、無視。と寝たフリを続けているとグイグイと髪の毛を引っ張られ、弄ばれた。 日の光を浴びてキラキラと艶めく村雨の銀色の髪は、好奇心旺盛なお子様には恰好の獲物だ。 ──このままではマズい。 前回は堪えに堪えてなんとか追い払った結果、まるで一昔前のパンクバンド、もしくはウニのような髪型にされたのだからたまったものではない。 村雨は身(毛)を守る為に実に嫌々ながらも、ゆっくりと目を開けた。 .
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