6人が本棚に入れています
本棚に追加
「花村って、最近友達いるからって生意気」
「そうそう」
「言えてる」
もともとの班にいた女子生徒三人が、二人の様子を見ながら口々に言う。
絵美は聞こえていたが、聞こえないふりをした。
怖いから。
根暗から抜け出したのに、気にしすぎて戻ってしまうのが嫌だったから。
ふと、一人と目が合い、逸らしてしまった。
舌打ちが聞こえたが、何も聞かなかったと思い込む様にする。
「絵美、放課後の買い物って何から見る?」
「え……あ、えっと、服からかな?」
小百合に声を掛けられて、意識が離れているのを感じつつも答える。
服と言ってもウォークラリーにしか使わない。
服は要らないかな、と思っていたが、小百合が提案を出す。
「服よりも、下着とか帽子が必要じゃない?」
確かに、使い続けている下着より新しい方が、見栄えがいい。
それに、帽子も暑さ対策として必要な物。
「そうだね、服は一度しか着ないもんね」
「そゆこと」
長い髪をかきあげる仕草に看取れる。
自分の短い髪の毛は、小百合のサラサラな髪とは月とスッポンだと絵美は心の中で呟く。
「とりあえず、その場で必要な物を見つけようか」
小百合は、凄い。
優柔不断な絵美は感心していた。
買い物が、ますます楽しみになりノートを取り出すとエミーナの世界を繋げる。
嬉しい時は、エミーナにも嬉しい事が起こる。
そんな風に書き上げた。
最初のコメントを投稿しよう!