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小百合は、自分の部屋の前にいた。 絵美と別れてから直ぐに家に向かい、今に至る。 ドアを開けて、電気を点けるとゴシック系の部屋の中が照らし出された。 物語で言う、魔女の部屋にも見受けられる。 「見つけたよ、サリラユ……エミーナを見つけた」 魔女の人形に話し掛けると机の引き出しから、ジュエリーケースを取り出す。 蓋を開けると、人工物の白い羽が二つ付いた赤い宝石のペンダントを取り出すと無表情で見つめた。 「サリラユ、私に何をさせるつもりなの?」 ギュッと胸を抑えて、人形を見た。 葡萄色の目が小百合を見つめている。 血を塗った様な赤い唇は笑いの表情を見せていた。 「うん、ドリームキャッチャーを渡せば分かるのね?分かった」 そっと、制服の中にしまうと本棚から分厚い物語の本を取り出す。 絵美が教室で読んでいた、女剣士の本。 小百合は何者なのか。 サリラユとは? 謎が深まり、物語が始まろうとしている。 「私は……たい」 呟いた言葉は、風が窓を叩く音に消えた。
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