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ここは、異世界。
ドラゴンもいればゴーレムもいる。
崖から下を覗けば、物語でしか出てこない生物が奇声や雄叫びを上げているのが見える。
白いマントを靡かせて、馬を止める少女。
短い、金色の髪が風に靡く。
「エミ、お前との旅も最後になりそうだ」
兵士達の方を振り返り、少女は言った。
鎧を纏った男の後ろにしがみつく形で乗っているローブで顔を隠した人物がゆっくりと頷いて、フードを取った。
少女と瓜二つな少女。
「エミーナ、もしも失敗したら私は、どうなるのかな?」
「分からない」
二人の少女は、一つの世界に存在してはならない。
ローブの少女は、異世界に流れ着いた現実世界の住人。
帰る方法を探し求めてここまで来た。
胸で揺れる、ドリームキャッチャーを握り、灰色の空を見上げる。
「エミーナ」
名前を呼ぶ。
エミーナは答えない。
情が移れば、別れが辛くなるとでも言うのか。
手綱を引いて、エミーナは崖を下る。
エミもフードを被り、羽が生えた様な弓を握りしめると意思を固めた。
「私は、帰らなきゃいけないんだ」
声は、雄叫びによって消える。
これが、最後の戦いなのだから油断してはいけない……。
強くならなきゃいけないのだから。
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