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「私達の班でも構わないんだけどさ、当日は別行動してよ?」 班で余った絵美は、適当な班に入れられた。 見学場所の相談ではなく、当日の行動の相談。 根暗と一緒にいたくないという感情が伝わってくる……。 拒否をすれば、嫌がらせを受けてしまう。 ならば、それに従うしかないじゃないか。 絵美の了承に満足したのか、席から離れて行く女子生徒。 結局、一人だ。 両親に聞かれたらなんて答えよう。 きっとお土産話なんて無いだろう。 「私も、強くなりたいなぁ……」 そんな事を思いながら、机の中からノートを出す。 絵美が想像する異世界の自分をテーマに小説を書いていて、その世界での自分は友人や仲間に信頼されていて勇敢に戦う女として認められている。 自分の分身である少女の名前は、エミーナ・クリスティ。 世界でたった一人の女剣士。 沢山の兵士を連れて、モンスターと戦う。 終わりの見えない物語を綴る時も安らぎの場所なのだ。
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