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自分の取り柄は、弓道だけ。 家業として幼い頃から続けている唯一無二の存在。 学校に弓道部があったら、入っていたであろう。 もしかしたら、友人が出来ただろうか? いや、出来なかったかもしれない。 弓道をやっていたとしても性格が変わらなくては友達など出来るはずがない。 物語の世界を分かり合える友達が欲しい。 溜め息をついて思っていると教師が見知らぬ少女を連れて教室に入ってくる。 「転校生を紹介するぞ」 教師は、黒板に名前を書きながら言う。 カツカツと音が鳴り響く中で少女は、ぼんやりと教室を見渡していた。 「夢原小百合さんだ」 「……両親の仕事により引っ越して来ました、よろしくお願いいたします」 少女、小百合は淡々と話すと再び教室を見渡して、絵美の前で視線を止める。 目が合った。 恥ずかしくて目を逸らすと小百合は、ゆっくり指を絵美に向ける。 「先生、夏季合宿の班ですけど、そこの女の子と二人だけでの班がいいです」 ざわめく教室。 絵美は、顔を赤くして戸惑う。 どう答えたらいいか分からずにいると、同じ班の女子生徒が押し付ける様な言動を向けて来た。 「嫌だったんだね」と思いつつ、小百合を見る。 小百合は、ニコリと笑うと空いている席に腰掛け、鞄を横のフックに掛けた。
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