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初めて、自分の意見を受け入れてくれる友人が出来た。 でも、小百合は変わった少女だった。 どんなに他のクラスメイトに誘われたり、声をかけられたりしても自分自身が認めた人でなければ会話はおろか、目も合わせない。 まるで、人を信用しないといった風に振る舞っている。 何を考えているのか分からない。 何故、絵美を認めたのか分からない。 不思議な少女だ。 「ねぇ、花村の事を絵美って呼んでいい?」 「う、うん小百合がいいなら呼んで欲しい」 下の名前で呼び合える友人の存在が嬉しくて、認められた事に特別なんだと思った。 エミーナに近付けた気がして嬉しかった。 ずっと苦痛だった夏季合宿が楽しみになり、小百合と買い物に行く約束もしていた。 初めての友人。 初めての買い物。 毎日が楽しくて仕方がなかった。 小百合には、自分の空想物語を話したいと思い始めた。 「小百合、あのね!」 エミーナの物語を知って欲しくて、緊張しながらもノートを抱き締めて話し掛ける。
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