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名は紫原 弦(しのはら げん)。
性格は口下手、人見知り、無口。
知り合いからは、ぼんやりとした顔立ちだと言われ、周りも納得するような平凡な出で立ち。
明日から高校生だというのに、150cmにも満たない身長のせいで未だに中学生扱い。
下手をすれば、小学生扱いを受けることさえある始末。
もっと人との付き合いが上手かったら、もっと特徴のある顔だったら、もっと身長がありさえしたら。
神様は不公平この上なかった。
しかし、中学生の頃、とある事をきっかけにカメラにハマってしまった。
くる日もくる日も、小遣いで買った使い捨てカメラを片手に僕の町をぶらぶら歩いては、気に入った風景を写真に納めた。
そして、中学校卒業の日、帰ってくると僕の机に丁寧に包装された箱が置かれていた。
その中身はカメラだった。
それ自体は、一眼レフ等とは程遠い、デジカメで、しかも数年前の機種らしく写真も保存できる枚数も少なく、機能もフラッシュだけであった。
が、使い捨てカメラばかりだった僕には、このデジカメが何十億とするダイヤにも匹敵するものに見えた。
それからは毎日外へ出ては写真を写した。
気の向くままレンズを向け、その風景をデジカメの中に切り取る。
そして、その写真の中に人が入り込む事は一度たりてなかった。
自然を写してばかりだったからか、人間がそこに入り込むと自然らしさが途端に壊されたイメージが湧いてしまうからだ。
そんなことを考えながら、高校の入学式は近づき、明日がその日になり、僕はその日もいつも通り気の向くまま足を運び、いつしか高校の校門の前にいた。
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