桜と少女

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家から高校までの距離は、駅三つ分は離れている。 その距離をふらりと歩いてこれたことを考えると、自分ながらに感心してしまう。 今いるのは、丁度校門の真逆に位置していた。 「とりあえず一枚…」 カシャッ! 夜中の静かな裏門の前では、デジカメのシャッター音は思いの外、大きく鳴り響いた。 デジカメなので、仕上がりを見た後、出来に満足、正門へと回りこんだ。 その途中でもことあるごとに、ことがなくても気の向くまま身の向くままシャッターを切り、本来裏門から正門までは十分もかからない距離を、三十分以上もかけてしまった。 色々なものが撮れた。 夜の学校などそうそう来ることもなく、気が付けば残り保存枚数も一枚になっていた。 「最後はしっかり撮りたいものを…」 そして正門にたどり着いた僕を桃色の風景が覆った。
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