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「ママは、コーヒーを出していない、と証言しているぞ」
「へ? まさか警部はそんな嘘の証言を信じているんですか?」
「私は、嘘とは思っとらんよ。他の従業員がいない状態で、このような証言をすれば、ますます自分が疑われる。にもかかわらず、こう証言するのだから信憑性は高いと思うがね」
「しかし、それをも踏まえた証言だとすれば……」
「あれを見ても、そう思うかね」
老警部は首を動かし、若い刑事を促した。
少し離れたところに、ママは立っていた。血の気の引いた顔で、近くの机に片手を乗せてなんとか体を支えており、立っているのがやっとという感じだった。
「証言、信じるしかなさそうですね」
若い刑事は少し悔しそうにつぶやいた。
「では、警部。警部は、どう推理するんですか?」
「これは、自殺だろうな。おそらく自らコーヒーに毒薬を入れたのだろう」
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