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水面に波紋が広がるかのように、背筋から頭の天辺、足の爪先まで、冷たい感覚が一気に走り抜ける。
真夏のじっとりとした空気の中、暑さの所為だけではない嫌な汗で、莉沙の背にTシャツが張り付く。
薄気味が悪くなった莉沙は虚勢を張り、ことさらに強い口調で言った。
「誰よ! なんなの? アンタのお母さんなんて知らないわよ!」
通話を切ろうと、莉沙が携帯電話を耳から離した、その時。
「きゃっ──!!!!」
莉沙は思わず小さな悲鳴を上げ、携帯電話を投げ捨て、ベッドの上に立ち上がっていた。
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