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未だかつて味わったことがないほどの恐怖に縛られ、頭の中が真っ白になって、何も考えられない。
しかし、莉沙の白い脚はがくがくと震えながらも、無意識のうちにまるで何かから逃げようとするかのように小さなベッドの上を後ずさりしていた。
投げ捨てられた携帯電話は二・三度跳ねてからベッドの隅に止まり、ディスプレイの青白い光を天井に向けている。
莉沙は顔の前に垂れた長い栗色の髪の隙間に見える、その煌々とした人工的な光を放つ画面から、目を離すことが出来ずにいた。
莉沙の怯えた視線の先にあったもの。
それは画面いっぱいに映った、血走った片目。
生者のものとは思えない、光のない澱んだ眼球。
その眼球が莉沙をぎろりと睨んだ。
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