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斎藤美咲(さいとうみさき)はいつもとなんの代わり映えのない通学路を、いつもと変わらぬ気だるい足取りで歩いていた。 「あっちぃなぁ……」 思わず呟かずにはいられない。 右手をひさしのように目の上に当て、空を見上げてみる。 まだ午前八時過ぎだというのに、日射しが強く、アスファルトからの照り返しもきつい。 加えて、昨夜の大雨の所為で妙に湿度が高く、歩いているだけで次から次へと額に汗が浮かんでくる。 背中に汗で張り付くブラウスが余計に不快感を強くしていた。 パーマのかかった長い髪が鬱陶しいが、そこは女子高生である。 多少の鬱陶しさよりも見た目が第一なのだ。
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