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「明日の朝、アイツどんな顔するか楽しみじゃない?」 とある県の閑静な住宅街にある、一際背の高いマンション。 そのマンションの五階、角部屋。 501号室の自分の部屋で、里中莉沙(さとなかりさ)は携帯電話を片手に、ベッドに寝転んでいる。 両親は共働きで、莉沙は一人っ子である。 割と恵まれた生活をしており、同世代と比べると広めの自室を持っていた。 辞書の代わりにファッション雑誌の乗った勉強机に、カラフルなネイルセット、ゲームセンターで取ったぬいぐるみの転がったベッド。 今はその部屋の電気は既に消されている。 携帯電話のディスプレイが放つ、いやに明るい人工的な光だけが、暗い部屋の中に際立っていた。 莉沙の手にある携帯電話はスマートフォンであり、大きめの画面表示されているのは通話相手の名前。
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