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「つーかさぁ? 最近アイツ少し鬱陶しくない?」
莉沙は癖のようにその唇を尖らせながら、携帯電話の向こうの女友達へと話し掛けた。
感情がすぐに声に出るのが莉沙の癖だ。
それは、まるで退屈を持て余しているのだという内心が聞こえて来そうな声ですらある。
「なんかウチらから浮いてるっていうかノリ悪いっていうかさぁ?」
『まぁ、今に始まった事じゃないじゃん』
電話の相手は笑い交じりに莉沙をなだめようとするが、莉沙は不満そうに滲んだ汗で首筋に張り付いた髪を人差し指ではがした。
昼間であれば美しい艶を放つ栗色の髪が、今はシャンプーの匂いを闇に色濃く漂わせている。
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