- 弐 話 -

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―――入りにくい。 あまりハードルを上げないでくれと思うのが本音だが、二人には入らないといった選択肢は選べない。 意を決した剱汰は、後ろで静かに携帯を弄っている勍汰の方を振り向き「行きますよ」と携帯を仕舞うように促す。 ざわめく教室の扉を開いて剱汰から静かに足を踏み入れ続いて勍汰が教室に入り、響が教室の扉を閉める。 あれほどざわめき立っていたのがまるで嘘かの様に、シン…と静まり返った教室。 「オラ、適当でいいから何か紹介しろ」 そう言われても何を言えばいいのか正直思い付かなかったが、適当と言われた言葉に甘えて無難に名前を告げる。 「…はじめまして。今日からこの学園に通う事になった、茅間剱汰です」 ペコリと律義に頭を下げ自分の後に続くようにとちらりと勍汰を見た。 「……茅間勍汰」 顔立ちこそ双子なので似ては居るが、気にしない程度であれば剱汰が眼鏡をかけている為か気付かれないことも何度かあった。 勍汰が名前を告げると再び室内にざわめきが戻る。 「僕、勍汰君タイプかも!」 「俺は剱汰君イケる」 …本当に男子校なんだろうか?世の中には色んな考えや色んな世界観がある事は二人共分かっては居る、がやはりまだ馴染めないのだ。 勍汰の方が経験はあるが二人共人並み程度には恋愛経験等をしてはきたが、この世界観に馴染めるのは当分先の気がする。 運良くでもないが初めだし二人一緒の方が良いだろう、と気を利かしてくれたらしく剱汰と勍汰は隣同士の席になった。 二時間目からの授業参加となったが可もなく不可もなく順調だった。
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