26人が本棚に入れています
本棚に追加
「…すみません」
「私が出したくて勝手に出したんだから、君が気にする必要はない」
「でも…いえ。ありがとうございます」
あまり謙遜し過ぎるのも良くないとは思いつつも、ついいつもの癖で言ってしまう。
否定することなく素直に受け入れ過ぎるのもどうかと思うが、逆に否定し過ぎるのも考え物で。
勍汰の言う通りこれ以上何も言わず彼の好意を素直に受け取り、机に置かれたカップに手を伸ばした。
「…さて。早速ですまないが二人共、この学園について話は聞いているかい?」
カチャリ、と小さく音を発てながらカップを皿に置いた彼が言う。
「学園の話、ですか?」
「ああ」
「いえ、特には…ただ寮の話は少し母から聞かされました」
「そうか…他には?」
他に聞いた話は?と聞かれ思い当たる節を記憶の中から探ってみるも、これといった話は思い浮かばず。
「そうだ。勍汰は何か聞いていませんか?」
優雅に…とは言えない食べっぷりで出された茶菓子のクッキーを頬張っている勍汰に、尋ねてみる。
まあ、どんな反応が返ってくるかは大体の想像はつくが念のため。
「ん゛?はんむ(何だ)」
「……早く中の物を飲み込んで下さい」
呆れながら暫く食べることを止めさせる。
「…んだよ」
「母さんからこの学園について何か聞いていませんか?」
「話っつってもなー…あ、そういや…」
ふと何かを思い出したのか、面倒臭そうに頭を掻いていた手を止める。
「―――ここってホモが多いって、マジっすか?」
「ああ、また有名な話を持ってきたな…」
「え、あの…どういう意味ですか?」
いきなりの発言に開いた口が塞がらなくなるのを何とか気を付け、空かさずその真意を確かめる。
最初のコメントを投稿しよう!