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「は…?」
「はあ!?」
よく似た容姿の二人が同時に驚きの声を上げる。
この二人は似ているだけあって双子、と言っても背丈はほぼ一緒で一卵性だが顔立ちは何処と無く違う。
そんな二人の対面にはニコニコとした笑顔を浮かべた、二人の母親が座っている。
「ふふ、やっぱり双子ね~」
同じタイミングで驚いちゃって面白いわよね~、と驚く彼等をよそに呑気にこの場を楽しんでいた。
「意味ワカンねーし!転校とか何勝手に決め…」
「あら、勍ちゃんお口がちょっと乱暴よ?」
にこやかな笑みとは裏腹に背後には恐ろしい形相の般若をたずえながら、言葉遣いを指摘する姿はやはり母親。
反論しようにもどう返せばいいのか分からず、微かに肩を震わせながら黙り込んでしまう勍汰(ケイタ)。
そんな勍汰を一瞬ちらりと見た後、然程興味無さげに勍汰から目の前に居る母親へと視線を向けた。
落ち着いた口調で彼女に何故いきなり他所へと転校しなければいけないのか、剱汰(ケンタ)は理由を確かめる。
「母さん。一体、どういった理由で僕等が転校しなきゃいけないんですか?」
「臨時収入が入ったから、勍ちゃんと剱ちゃんをもっといい学校に行かせたいと思って」
語尾にハートが飛んでそうな調子で楽し気に言われれば、何かを言う気にもならず…
―――結局、母親には逆らうことは愚か何も口出し出来ず二人は転校を余儀無くされたのだ。
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