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立派過ぎる程の外国車に揺られて一時間弱、窓の景色を見れば広がるのは木ばかり。
肩に凭れ掛かりながら気持ち良さそうに眠る勍汰を剱汰は内心嫌そうな目で見て、少しずれた眼鏡を直す。
周りの景色が木ばかりというのも何とも言い難いが更なる山奥に入って早数十分が経った頃、運転手の若い男性が言う。
「着きました」
「……此処…ですか?」
「はい、私がご案内出来るのは此処までとなっています」
そう言い彼が何か操作をしたのか扉が勝手に開く。
「此処までありがとうございました」
律儀に頭を下げてお礼を言いながら、爆睡している勍汰の身体を揺すり起こす。
「お兄さんですか?」
「残念ながら、寝ているのが兄です」
「おや、これは失礼しました…あそこの大きな門に向かい警備員に貴方方が此処に来られた趣をお話し下さい」
少し歩いた先に見える大きく立派な門に指差し説明する。
分かりました、とこくりと頷いて無理矢理勍汰を車内から引き摺り降ろした所で、降ろされた衝撃を受けて漸く目を覚ましたのだ。
「い゛っ…!」
痛そうにお尻を撫でながら剱汰を見上げる。
「てめ!いきなり降ろすなよ!」
立ち上がるや否やグッと剱汰の胸ぐらを乱暴に掴む。
「起きない勍汰が悪いんじゃないですか?」
確かに剱汰が正しい事は勍汰も分かってはいる。
だがやはり納得がいかず…かと言って早々に問題を起こすのも面倒なので、再び乱暴に手を放した。
「行くぞ」
「勍汰、お礼言ってないでしょう?ちゃんと…」
「一々うるせーな!ああ、此処までどうも」
ぶっきらぼうに勍汰なりのお礼を言い、さっさと歩いて行く。
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