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開けられた門を潜り抜け一歩足を踏み入れれば、もうそこは今まで自分達が居た世界とは正反対。
住んでいる国が違うと言うよりもまるで異世界のようだ。
メルヘンチックな童話の世界に飛び込んだか、もしくはそれらの世界が飛び出してきたような不思議な感覚。
そんな景色に思わず絶句していた勍汰が、どこかげっそりしながら呟く。
「ぜってー無駄金だろ…」
「確かに僕にも価値観は解りかねませんね…」
右を見ても左を見ても全て設けられている石像等は、大理石で出来ている。
到着して数分しか経っていないが、二人にとっては既に場違いな気しかしなかった。
本当にこんな豪華過ぎる学校でやっていけるのだろうか…しっかり者の剱汰も流石に不安が過る。
「…寮、別ですかね」
「さーな。…まあ、変な奴に当たるぐらいなら剱汰と一緒の方がまだ、マシだけどな」
相変わらず素直じゃないな、と思うも口には出さず久しぶりに二人並んで歩いた。
漸く校舎らしき建物に入ると予想していたよりも、シンプルで一般的な学校等と近いモノだった。
勍汰と剱汰が同時にホッとしたのも束の間、突然背後から声を掛けられたのだ。
「―――おい。お前等、そこで何やってる」
声のした後ろを勍汰がくるりと振り変える。
するとそこには白いスーツに身を包んだ金髪の男性が此方に向かって歩いて来ていた。
「…ホスト?」
勍汰は思わず本音が漏れてしまう。
「ああ゛?誰がホストだ。…つか、お前等誰だ」
確かに彼が二人を知らないのも当たり前かもしれないが、自分から話し掛けておきながら何なんだ…と言った目で長身の彼を見上げる剱汰。
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