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赤い。
壁が、机が、椅子が、窓が、天井が――、何故?
部屋の真ん中には、泣きわめく少年が座り込んでいる。全身が真っ赤に染まっていて、元の服色が分からない。
これは誰だっけ。見たことがある、気がする。――ああ、なんだ。俺だ。
幼い俺の周りには、女の人と男の人、そして小さい赤ちゃんが横たわっている。その様子を、なにかを持った男が見下ろしていた。
その男も、横たわっている人たちも皆、幼い俺同様真っ赤だ。
異常な、明らかに誰から見ても異常だと分かる光景。
怖い。これはなんだ。赤は何?この人たちは誰?
――違う。
俺は、佐伯悠高(サエキ ハルタカ)は……知っている。
ここは……俺が昔住んでいた家。赤く染まった家具も部屋も。慣れ親しんでいた生家だ。
周りに倒れている人は、母さんと父さん、それに妹。
――そして、なにかを……ナイフを、持っているのは俺の家族を殺した、奴……。
俺はこの先を知っている。体験したんだ。この後はダメだ。
心の奥で、何かが警鐘を鳴らす。駄目だ、見るな、夢なら覚めろ、覚めろ、覚めろ!!
見たくない。嫌だ、
分かっている、知って、いる。
俺以外の3人はとっくに死んでて、俺は、俺も――――、
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