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「はぁ、ハァッ……は、」
「ハル、念のため薬。大丈夫か?」
「おん……すまん、」
だいぶ息が落ち着いてきたところで、篁から声をかけられ、抱きついていた体を離した。が、力が入らずベッドに倒れ込んだ。
篁がサイドテーブルの引き出しから薬を取り出し渡してくれる。
「水、持ってこようか? 喉、痛いだろ?」
「や、大丈夫。だいぶ落ち着いた」
「そうか。悠高、今日学校どうする?」
「行きたないけど……数学分からんくなったら嫌やし、行くわ。動けんわけやないから」
「具合悪くなったら言えよ?」
「おん」
篁の言葉にそう返し、そろそろと立ち上がる。少しふらついたがきちんと歩く事は出来た。
「あ、朝食の準備途中だったんだ!」
唐突に篁が声をあげた。確かに、今の篁の格好はいかにも料理中だった感じだ。
おそらく、騒ぎだした俺に料理を放り出して様子を見にきてくれたのだろう。
「卵焼き、だし巻きがええな」
「はいはい」
ぱたぱたと篁が先にリビングへ向かったのを確認して、ため息を吐いた。
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