罰ゲーム

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罰ゲーム

陵北高校3年3組、4時間目の授業が終わり昼休みに突入した只今の状況。 学食や購買に走る生徒あり、お弁当を持って外へ出掛ける者あり、教室内でお弁当を広げ始めた人あり。 そんな中、私は一人、どう考えてもその場に不釣合いなモノを手に、クラスの、いや学校内の有名人で人気者でもある二人組の元へと歩みを進めた。 「お~、待ってたぞ~! …ってお前、それってもしかして…」 「うふふ、昨日の罰ゲームで申し付かったモノをお持ちしましたわよ、丸山英二さま?」 「ハハッ、確かに昨日英二が相川に持って来いって言ったものには間違いなさそうだね」 「あら、間違いなさそうなんじゃなくて、どう見ても間違いないでしょう?」 ニコニコ笑顔で藤村徹の言葉に訂正を入れつつ、丸山の目の前にドンと勢い良く手にしていたものを置く。 そうなのだ。昨日の昼休みにこの二人に誘われてボードゲームに参加したら、一番手のあがりは丸山で、運悪く私が一番最後になってしまったのだ。 しかも敗者は勝者の言うことを1つ聞く、なんてルールを承諾してしまってた私は、今日丸山にお弁当を作ってくることになってしまっていた。 「お前、確かに俺は弁当作って来てくれって言ったけどさぁ…」 「あらあら~? 私が承った罰ゲームにサイズの指定はなかったはずですわね?」 「だからって三段の重箱で持って来るヤツがいるかよ~!」 「丸山さまの為にわたくしめが愛情込めて、朝から手作り致しましたのよ? 残さず食べて下さいますわよね?」 「それは残しちゃ悪いよね。ね、英二?」 「う…。徹までそんなこと言うのかよ~!? いくら俺が育ち盛りだからって、こんなに食べられるはずが…」 ブツブツ非難の声を上げている丸山に構わず、私は彼の机の上にお弁当を所狭しと広げていく。 今日はいつもより2時間も早起きして、眠気と戦いながら必死に作り上げたお弁当を、食べられないなんて言わせないわよ。 「徹~、お前も食べるの手伝ってくれよ~!」 「あれ、いいの? 彼女が英二の為に愛情込めて作ってくれたモノを僕が食べても」 藤村の一部、変に強調されたその意地悪な言葉を聞いて、丸山がピクリと動きを止めた。 そして上目遣いな視線だけを、机の横に立ったままの私へと向ける。
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