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「東海林くん、悪いことは言わないから、あんまりそういうことを女の子に言わない方がいいよ」
「え? どうして?」
「好きな子相手にならともかく、そうでない子にそんなこと言ってたら色々揉める元になると思うし」
余計な厄介ごとはやっぱり避けたいのが人間ってもんでしょう。
あなたが嫌な人なら放っておくけど、そうでないから忠告しておいてあげる。
女の子はそんなに優しい人種じゃないのよ? 特に色恋沙汰が絡むとそれはそれは恐ろしい人種になってしまうのだから。
東海林くんってば自分が人気者だっていう自覚がないのかな。
「じゃあ、問題ないよね」
「はい?」
えーと、あなたは私の話を聞いていましたか?
「だって俺が可愛いって思うのは中野さんだけだし、中野さん以外にこんなこと言ったりしないからね。それに…」
「…それに?」
今、驚くべき言葉を耳にしてる気がするけど、続きがあるならそれも聞いておくべきだよね。
きっと驚きの表現をするのはそれからでも遅くないはず。
「俺が好きなのは中野さんだけだから」
ああ、今、身をもって体験しました。
驚きすぎた時は声も出ないってことを。
身体の一部たりとも動かせなくなるってことを。
ほら、周りの人達もビックリして固まってるじゃない。
…っていうか、自習時間でプリントをやっつけてる最中に告白してくるなんて、やっぱり東海林くんって変わった人ね。
でもそんなあなたが好きな私もきっと変わってるのかもしれないね。
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