罰ゲーム

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「相川、お前、ホントに愛情込めた?」 「…は?」 「これにはホントにお前の愛情がこもってんのかって聞いてんの!!」 どこか必死さを漂わせながら、丸山が頬に少しだけ赤みを乗せて聞いてくる。 「そりゃ…、まぁ…、一応は…、ね」 いくらなんでも私だって女ですから、好きな人に作るモノに愛情がこもってない訳はないわけで。 それを誤魔化すためにわざわざ食べきれないような量作って、重箱にこれでもかってくらい詰め込んだけど。 それなのにそんな表情でそんな風に聞かれたら、曖昧でもホントのことを言うしかないじゃない。 「じゃあ全部食べる!」 「えっ、ちょっ、そんな無茶な!?」 「お前が俺の為に愛情込めて作ったんだろ! だったら俺が全部食べるッ!!」 「うん、さすが英二。それでこそ男だよね」 「ちょっと藤村、納得してないで止めなさいよね! こんな量、食べきれる訳ないじゃない! お腹壊すわよ!?」 「でも相川が愛情込めて作ったのはホントでしょ?」 「うっ、そりゃ…、その…」 でもだからって、こんなことになるなんて思ってなかったんだもん! 「そこ! いつまでもブツブツ言ってんなよなっ!! 俺だって男なんだから、好きなヤツの愛情弁当を誰にも渡したくなくなって当然だろ!!」 …はい? 今、何て申されました? 私の聞き間違いじゃないよね!? 「ホント、英二って世話が焼けるよね。あ、それは相川も一緒かな。二人とも似たもの同士ってヤツだね」 クスッといつもの笑顔でさらりと藤村が言葉を付け足す。 えーと、まさか自分の作った重箱弁当がこんな結果を生むとは思いもよりませんでした。 これも結果よければ全てよし? それとも、早起きは三文の徳ってヤツかなぁ。
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