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この時代の『戦争』は敵地に攻め入る必要はない。ボタン一つですべて終わる。
地球四大陸国、『ユーラシア』『アメリカ』『アフリカ』『オーストラリア』は、このような時に備え、個々に戦闘衛星を宇宙に所有し、威嚇しあっていた。
いつの時代も武力による威圧の上に『偽りの平和』が成り立つのは、歴史上あまり変わらない。その均衡が崩れた今、衛星から『有機分解ビーム』が撃たれることは避けられない運命である。
ちなみに『有機分解ビーム』とは、医学博士・ルードビッヒが開発した、手術や抗がん剤なしで癌細胞のみを消滅させるという、何億Hz(ヘルツ)という超高周波ビームで、本来なら医療でのみ使っていた。
だが、核兵器根絶により、兵器を失った大陸国たちは、それに目をつけ、各々で極秘に兵器として開発を開始し完成させたのだ。
地球上の有機物のみを原子レベルにまで分解させるという地球の歴史上最も恐ろしい兵器を……。
これらが同時に撃ち込まれたら最後……。
地球の全ての生命が分解還元され、ヒトはおろか、動植物、昆虫、単細胞生物に至る生命体というものが消滅してしまう。
「我々が生きるための最後の手段だ!」
理性を失ったユーラシア最高総裁・チョ・レンハクはテレビを通じ、ビームの発射を国民に宣言した。
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