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「コラ!カナタ!まだ早いっ……。」
ソレは、この状況に相応しい、冷たい詰るような声だった。
少年は、ピクッとして鎌を振り上げたまま固まり俺の後ろを見詰めた。
「いきなり居なくなったと思えば……。」
呆れた様なその酷く冷たい声に、俺は、振り返る。
如何にも、真面目で優等生に見える無表情の男がいた。
格好は、少年と同じ黒いマントに身を包んでいる。
俺は、状況を把握するため二人を交互に見た。
「邪魔だよ」
「五月蝿い…コレだから貴様とは組みたくないんだ…。」
「何だと?僕だって好きで組んでるわけじゃないんだからな!」
「お互いに」
二人は、暫く話した後、此方を舐めるようにみた。
「アンタは名簿にあった“久保龍之介”って男か?」
“久保龍之介”ソレは、確かに俺の名前だった。
俺が、頷くと冷血そうな男は、静かに告げた。
「このリストは、死期の近い者の名が書かれている」
「死期が近いと僕ら死神が見えるんだよ
僕らが見えてるのは、死期の近い証拠だよ」
あぁ死ぬんだ?
俺は、その不思議でファンタジーな現実になんの疑問も持たなかった。
只やっとゴールが、見えたんだとほっとした様な気がしたのだ。
俺は、この町にも誰にも必要とされていない存在なのだから。
「マスターに言ってペアを解消させてもらう」
男は、一例すると一瞬で消えた。
残された“カナタ”と言う、少年は、俺を見上げて微笑んだ。
「死期までお兄ちゃんの近くにいるね」
そう言って、小さな身体の“カナタ”は、着いてきた。
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