プロローグ

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「僕“彼方”って言うんだ コイツは、バニラ!僕の親友なんだ」  彼方は、ずっと微笑んだまま話続ける。  ソレを受け流しながら、とあるアパートの一室に辿り着く。 「只今秋良」 「遅かったじゃねぇか龍 もしかして野菜売り切れてたのかぁ?」 「いや変な奴等に会ってさ」 「変な奴等だと?」 「ホラそこに居る黒いマントの……。」  彼方は、確かに俺の服の裾を掴んで秋良を見上げている。  秋良は、エコバッグを受け取ると、俺の指差した方をぼんやり見詰めている。 「はぁっ?」  きょとんとして首を、傾げる。  指差した方には、彼方が居るのに秋良は、首を傾げたまま俺をみた。 「からかってるのか?龍」 「いや…ごめん…。」  どうやら、彼方は、秋良には見えていないらしい。  秋良は、不機嫌な顔で此方をみる。 「部屋に上着置いてくる」  俺は、逃げるように階段を上った。  秋良は、俺が好きになった唯一の人間だから。  部屋に入ると彼方が、白いクマの人形と共にベッドダイブしたのだ。 「…五月蝿い…。」 「ねぇ?さっきのお兄ちゃんと一緒に住んでいるの?」  ベッドに寝っ転がったまま彼方は、尋ねてきた。 「あぁ」  俺は、短く返事をするとタバコを灰皿に押し付けた。
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