4人が本棚に入れています
本棚に追加
1-A
部屋に帰ると。
彼方が、お昼寝をしていた。
そっと頭を撫でる。
意外とサラサラしたカラスみたいな色の長髪。
病人の様に青白い肌。
あぁやはり彼方は、人間じゃないんだ。
俺は、絵筆をとって乾いた絵の具に水をさした。
いつも彼方が、寝てる時間に絵を描く。
全然上手くはないが、秋良は俺の絵を誉めてくれる。
だから書き続ける。
コンコン
「入るぞ」
ガチャ…
「何描いてるんだ?」
「どうしたの?秋良」
入ってきた秋良は、かなり機嫌が良さそうだった。
しかし直ぐに表情は、凍り付いた。
目の先には、俺のスケッチブック。
「……龍?ソイツは?」
訝しげに、眉を潜める秋良。
「彼方って言う子どもさ」
「彼方…知り合い…?」
いつも余裕綽々としてる秋良が、今日は余裕が無さそうに焦っている。
「まぁ…」
「マジかよ……。」
その後、秋良に聞いた話によれば15年前。
“彼方”と言う当日10歳の少年が交通事故にあったと言う。
病気がちの少年だったらしく、友達は秋良だけだった。
彼方が大切にしている、クマのぬいぐるみは、秋良がプレゼントしたものらしい。
最初のコメントを投稿しよう!