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 部屋に帰ると。  彼方が、お昼寝をしていた。  そっと頭を撫でる。  意外とサラサラしたカラスみたいな色の長髪。  病人の様に青白い肌。  あぁやはり彼方は、人間じゃないんだ。  俺は、絵筆をとって乾いた絵の具に水をさした。  いつも彼方が、寝てる時間に絵を描く。  全然上手くはないが、秋良は俺の絵を誉めてくれる。  だから書き続ける。 コンコン 「入るぞ」 ガチャ… 「何描いてるんだ?」 「どうしたの?秋良」  入ってきた秋良は、かなり機嫌が良さそうだった。  しかし直ぐに表情は、凍り付いた。  目の先には、俺のスケッチブック。 「……龍?ソイツは?」  訝しげに、眉を潜める秋良。 「彼方って言う子どもさ」 「彼方…知り合い…?」  いつも余裕綽々としてる秋良が、今日は余裕が無さそうに焦っている。 「まぁ…」 「マジかよ……。」  その後、秋良に聞いた話によれば15年前。  “彼方”と言う当日10歳の少年が交通事故にあったと言う。  病気がちの少年だったらしく、友達は秋良だけだった。  彼方が大切にしている、クマのぬいぐるみは、秋良がプレゼントしたものらしい。
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