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お弁当も食べ終わり、特にする事も無くなった私は相変わらずしつこく粘着質にくっ付いてくる呉羽を引っぺがしながら春が来るのを待っていた。
「ご、めん・・・待たせちゃって・・・」
キイ...と弱々しく扉を開ける音と共に聞き慣れた春の声。
「遅いよー」何て軽口でも叩こうとした口は、春の無惨な容姿を見て何も言えなくなった。
「春ちゃん?!どうしたの、その、容姿・・・」
「春・・・」
鎖骨を隠す程度まであった髪は肩までになり、制服はボロボロで、顔や腕に痛々しい青痣があった。
それなのに、無理をして弱々しく笑う春に、私は、何も声を掛けられなかった。
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