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…話掛けちゃだめだ。分かってる。
でも…でも何でだろ……スゲェ話掛けてみたい…!!
ハンパない程好奇心が湧いてる…!!
「……い…五十嵐さん!九条さん!」
結果、僕は好奇心に敗北した。
しょうがないじゃないか。人間だもの。
僕が声を掛けると、一人はビクッとしてからもう一方の背中に隠れた。
そして一人は僕を見るなり天真爛漫な笑顔を向けながら僕に大きく手を振った。
「お~い橘く~ん!おっは~!」
はは、古い挨拶だなぁ。
僕はそう言っただろう。
でも言えなかった。
何故?
だって……九条さんだったもの。
「ヤダなー橘君、そこは"古いよ!"ってツッコんでくれないと~!じゃないと私が本気で時代遅れな子みたいじゃんか~!」
「……あ……ごめん…。」
…コロコロと表情を変えるその人。
まるで普段の五十嵐さんみたいだ。
だがもう一度言おう。
九条さんだ。
九条さんがマシンガントークをしているのだ。
ポカンとして、僕はそのハイテンションな九条さんの背中に隠れてるもう一方へ目を向ける。
「…おはよう、邦弘君。」
顔だけ覗かせて…五十嵐さんは、そう僕に挨拶をする。
……………。
……逆じゃね?
「ん?どしたの?橘君元気ないよ?」
「……あ…いや……何でもない…。」
そう言って僕の顔を覗き込むのは九条さん。
……逆じゃね?
あれ?性格逆じゃね?
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