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…世界が暗転した。
世界…?視界じゃなくて…?
よく分からないけど…次に僕が目を開いた時、そこにはもうアオガミはいなかった。
周りを見渡しても、アオガミはいないし…別段異常な箇所は見当たらない。
…カオス…とか言うぐらいなんだから、相当な混沌を覚悟していただけに…ちょっと一安心。
「…はは…流石のアオガミも、そこまでの事は出来なかったのかな…。」
多分アオガミが失敗したんだろう。
そういう結論にして、僕は一息ついてから軽い足取りでとっとと部屋へ帰ることにした。
「…あれ?」
部屋へ戻る途中の廊下の角に、希の姿を見つけた。
…なんか、隠れてる…?
どうもコソコソと挙動不審な動きをしながら周りを警戒している希。
僕に気付いてないみたいだから、僕は希に声を掛けた。
「お~い希~。」
「ひぃっ…!?」
声をかけると同時に、希は気持ち悪い声を上げながら尻もちをついてズッコケていた。
「…な…なんだ…クロか…」
「…どしたの…?」
明らかに何かに追われてる人のリアクションだよそれ…。
僕が尋ねると、希は視線を泳がせる。
「べ…別に…な、なんでもない…けど…。」
「…………。…そう…?」
やだ気持ち悪い。
普段が普段なだけにこんなキョドる希は気持ち悪い。
まぁ…どうせ下らない事してるんだろう。
「あんまりヘンなことしないほうがいいよ。じゃあね。」
「…ま…待ってクロ…!」
付き合うのもアホらしいから帰ろうとしたところ、希が僕の足を掴んできた。
「ひ…一人じゃこ…怖いから…一緒に…いてくれよ…。」
「…えっと…なんで…?」
結構本気で引いた僕。
希は僕と目を合わせようとせず、相変わらず何かに怯えるようにキョロキョロする。
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