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「…た…頼むよ…親友だろ…?」
「…あの…とりあえず足放してくれないかな…?」
希が僕に縋るように擦り寄るから、何か本気で気持ち悪い。
本気で僕自身に危険が迫っている気がしてならない。
てゆーか…本当におかしいぞ…?
「希…いったいどうしたんだよ…?希はもっと喧しウザキャラじゃ――」
「あ~~!のぞみん先輩見~つけた~~!」
真剣に希から事情を説明してもらおうと思った矢先、今度は別にそんな聞き慣れた声が聞こえた。
“のぞみん先輩”なんて単語使うのはあの子しかいなく、案の定そこに現れたのはマナだった。
テンション高いマナの声を聞いた希は、またも「ひぃっ!?」と声を上げる。
「も~~!どーして逃げるんですか先輩~!ホント恥ずかしがり屋さんですね~かーわいぃ♪そんな性格も大好きですよ~♪」
「………え゛?」
ニッコニコ笑いながら希へと歩み寄るマナ。
そのマナの発言を聞いた僕は思わず自らの耳を疑った。
「ひっ…く…来るなっ…!」
「も~素直じゃないですね先輩~♪本当は嬉しいんですよね?そうに決まってますよね?だって先輩も私のこと好きだもんね、そうですよね分かってますよアハハハ!」
「………え゛?」
…あ…あれれ…?
…なにこのマナ、デレ期…?
素直だぞ…素直過ぎるぞ…素直過ぎてなんとなく怖いぞ…?
マナは希しか見えていなかったらしく、僕の存在に気付くなり笑うのを止めた。
「…橘先輩…いたんですね。」
「あ…うん…。えっと…つかぬ事お聞きしますが――」
「のぞみん先輩、私から逃げて橘先輩と一緒にいたんですね。ふ~ん…へぇ~………どうしてですか?ねぇ、どうしてなんですか?」
僕の声なんか完全スルー。
全く笑ってない目で希に詰め寄るマナ。
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