汚物は消毒だ

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正に今撃つとばかりにトリガーに掛けた一指し指に力を込め、引こうとした瞬間。 「そう簡単にやらせはせんぞ侵入者!!!」 横からの急な風切り音と、気合の籠った掛け声にとっさにベレッタの照準を馬鹿息子から外し、ちらりと視界の端で見えた鈍く輝くコンバットナイフの刃先が自分の顔面に迫るのをバックステップして躱そうとするが回避のタイミングが遅れたせいで回避しきれない。 (チィッ・・・!仕方ねぇ!) ザシュ!!ボタッ・・・ボタ・・・ 「まだこれだけ気配が消せる腕利きがいたか」 「よく言う、完璧な不意打ちにも拘らず致命傷が確定だった一撃を軽傷で済ませるような奴に褒められてもいい気分ではないぞ」 回避しきれないのならばと、俺は回避行動を即座に致命傷を避けるように変更させ、首を狩りに来ていた刃先をタイミングをずらさせるためにワザと前進し、額から眉間、そして上頬まで斜めに切り裂かせ、追撃を受けないため即座に下がる。切られた瞬間、鋭い痛みが走るが痛がるより目の前に現れた強敵から一瞬でも視線を逸らさない。切り裂かれて眉間から上頬まで斜めに長く走った傷から血が溢れ、視界を塞ぐ前にフードを切り裂かれ、最早顔を隠す役目を果たさなくなったフードを上げ、右腕の袖でグイッと乱暴に拭う。 「その隙貰った!!」 「馬鹿が!!」 顔を拭って出来た僅かな隙。それを逃さんとコンバットナイフを構えた黒いスーツ姿のサングラスをかけた黒髪で髪をツンツンにして筋肉質な若い男にすかさず左手のベレッタを向け、撃つ。 ダン!ダン!ダン!ーーーチュイン!チュイン!チュイン! 「甘いのはそちらだ!侵入者!」 向かってきた奴はあろうことか右太腿に隠していたマチェットを右手に持つと最初から左手に持っていたコンバットナイフと、二刀合わせて構える。奴が一振り左手のナイフを振るうと1発目の弾丸が弾かれ、間髪なく迫る2発目を右手のマチェットで真っ二つにし、最後の3発目もナイフの返す刃で弾く。 「テメェは何処の五右衛門だゴラァッ!!!!」
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