汚物は消毒だ

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見目麗しい黒髪の男装した麗人の横を通り、その後ろにある館の奥に通じる固い木製の美しい蝶番で飾られたドアを思い切り蹴り飛ばす。 「オッルアァァァッ!!!」 バッキャァ!!!! 力加減を間違えて扉をぶち壊して木片が飛ぶがまぁ気にしない様にしよう。 「加減を間違えたようだな・・・まぁ関係ねぇが」 「何故だ!?何故殺さない?!私は負けたんだぞ!!お前に!!!」 狼狽えて叫ぶようにそう問う凄い形相で此方を睨むサムライ野郎に振り返り、言い放つ。 「俺は出来る限り無駄な殺しはしない主義だ。ましてや戦士に成り切れなかったお前を殺す価値なんて何処にもねぇな」 「ぐっ・・・・!」 俺の正論に奴は呻き、片膝を地面につき思い切り右拳で床を殴る。奴も戦いに生きる者ならこの言葉の意味を理解できるだろう。ただ殺すだけの獣や、殺人狂、サイコパスなんかには分からないであろう『俺達の様な戦士が』人間であるための最終ラインの事を。昔の古き良き騎士のように俺達戦士は、戦うべき相手を間違えてはいけない。この力は力無き弱者の為に。前世でも今世でも俺が守り続ける大切な教えだ。 「行けよ。次は戦場で会わない事を願うぜ。幸せに暮らせよお二人さん。俺は戦う事しか知らねぇんでな」 俺はそのまま奴らへと振り返らず最後に残った大仕事終らせる為に薄暗い廊下を頼りになる双銃を肩の前で掲げ、歩いて行く。 さぁ、地獄にぶち込んでやるぜ。待ってなクソ野郎ぉ・・・・。 「言っちゃたわね・・彼・・・」 「ああ・・・そうだな・・・」 「生かされたわね・・・私達、あんな小さな襲撃者さんに」 「俺より、修羅場を潜っているというのか・・・・あの年で奴は・・・」
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