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「な…アンタ…」
「今のうちに逃げるぞ」
目を丸くしている紗香を軽々と抱き上げ、アンドロイドは元来た道を走り出す。
「ちょっ!!何を!!」
「あそこに居たらすぐにあの男が目を覚ます
そんなに強く撃っていないからな」
そう言われ振り返るが、地面は大きく抉られており、男は間一髪避けたのか腰を抜かしたまま顔面蒼白になっている。
「…さっきはすまなかった…助けてくれた奴に礼すら言わず」
「え?…いや…別に」
梅園の家の前に着くと、アンドロイドは紗香を下ろしバツが悪そうに呟いた。
「……お前の名前、は?」
「へ?……あ…紗香
椿 紗香だよ」
「オレは……AO-013W」
小さな声で呟かれたそれが、アンドロイドのシリアルナンバーだと気付くのに、少し時間がかかった。
「AO…?」
「ああ、超旧型」
「へー
長いね」
「……」
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