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「…あ…」
思わず口走ったことに、慌てて口を押さえる紗香に、梅園は優しく笑いかける。
「彼さえ良ければいいんじゃない?
君は行くあてあるの?」
アンドロイドは梅園の問い掛けに答えず、目を丸くしたまま紗香を見つめる。
「……」
恐る恐る、という雰囲気で見つめてくる紗香に、アンドロイドは呆れたように空気を吐き出す。
「……しばらく…世話になる」
「ふーん
あ、椿ちゃん
時間時間」
梅園に言われ、時計に目をやった紗香は慌てて立ち上がる。
「ヤバッ
バイト始まる!!」
「……?」
慌ただしく梅園の家を飛び出そうとする紗香を、アンドロイドは不思議そうに見つめる。
「キミキミ
椿ちゃんを送ってあげて?
君なら椿ちゃんが走るより速いでしょ」
「……」
「わっ!?」
梅園の言葉にアンドロイドは眉をひそめたが、次の瞬間には走り出そうとしていた紗香を抱き上げ、近くの屋根に飛び乗った。
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