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「お先失礼しまーす
お疲れ様でした」
バイトが終わると、紗香は素早く着替えて荷物をまとめる。
「小娘、ほら今日の分」
「あ!ありがとう店長!」
差し出された封筒を鞄に入れ、紗香は急いで店から飛び出す。
それを見送った店長と店員は苦々しい表情を浮かべる。
「まだ若いのに…大変ですねぇ」
「両親に捨てられ、その日暮らし…か」
「終わった~…」
深夜、ぐったりとしながら家路についた紗香は、ふと目を細める。
目を凝らして見ると、自分の部屋の前に、誰かが立っていた。
「…げっ…」
「出てこんかいワレェ!!
居んのは分かってんだよォ!!」
見るからにガラの悪い男に、紗香は顔をしかめ、もと来た道を戻り始める。
「今日も公園で野宿するか」
幸い今日の気温はちょうどいいので、凍死をすることはまず無いだろう。
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