2人が本棚に入れています
本棚に追加
「え…これって……」
紗香がごみ捨て場で見たのは、固く目を閉じた、赤い髪の男性。
肩や腕、胸部にいくつもの銃痕があったが、血は流れていない。
周りを見渡しても、足を引きずったような痕があるだけで、血痕は見当たらなかった。
「(この人…人間じゃ、ない…
…アンドロイドなんだ…
でも…死んじゃってる…)」
そっと男性の額に触れると、ひんやりと冷たい。
それが悲しくて、濃い赤の髪を数回撫でていると、微かなモーター音が辺りに響いた。
「!」
「………」
ゆっくりと開かれた瞳がしばらくさ迷ってから紗香を見付ける。
驚きで固まっている紗香を認識すると、男性は目を見開いた。
「ニンゲン…キライ…コワサレルノハ…イヤダ」
回路が壊れているのか、片言で喋る男性は、手近にあった棒を握ると大きく振りかぶって紗香目掛けて振り下ろした。
「なっ!!?」
最初のコメントを投稿しよう!