カナリア(お題ほたる)

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こないだなんて浄明寺ってとこの川に螢がふわふわいて、北海道出身の先生が驚いてた。 「普通にとんでる!」 鶴ヶ岡八幡宮では毎年見るから珍しいって感覚麻痺したのかも。 まぁ、とにかく、話をしていた。 「螢を想像してご覧。螢だよ」 わたしの頭の中では『うかんむり』が荒れ狂っていた。 「はいはい。――贖罪っと」 「ぼくは何もしてない」 だから漢字練習。そもそも話題を振ることが罪じゃない。 「そこで雄の螢を想像するんだ、――求愛行動だから雄しか光らないからなんだけど――たまたまお尻がない螢」 「血まみれじゃないの、雄螢。――弾劾っと」 「妙に心の突き刺さり具合にマッチしてるねぇ。その漢字」 だって裁判関係の漢字だし。 わたしは早く親から飛び出したくて、裁判官を目指してた。 就職率が高そうだし、なにより――罪ってわたし達が生まれた時から出来てない?
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