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昨日までは、温かかった右手の手のひら。
今は、それが欠片もなくて、感覚が無くなるほど、冷たい。
夏が待ちきれないかと言うように、熱い日射しを地を歩く人々に差し込む。
でもそれを、一瞬忘れてしまったほどに、液体窒素並の冷たい言葉があたしに向けられた。
「……なんで?」
震える声。
だって、ホントに唐突すぎて。
昨日までは、あたしたちに終わりなんて来ないと思ってたの。
暖かくて、冷たい冬も、あなたがいれば、乗り切れられると本気で思ってた。
『別れよ、俺ら』
あたしの全部を奪い去ろうとする言葉。
そんな言葉、あたしたちには無縁だと勘違いしていた。
けど、直(なお)は違っていたんだね…。
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