プロローグ

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腰に着けたホルスターから拳銃を引き抜く。 名前なんて知らない。引き金を引いたら弾丸が飛び出して、それで人が死ねば問題はない。 両目をしっかりと開き狙いを定め、右手で調整を加える。 左手を素早く添え、右手の人差し指が折れ曲がる。 反動で僅かに銃口がはね上がるが、狙いを外す程ではない。 飛び出した銃弾が数十メートル先にいる対象の額を撃ち抜いた。 ――僅かに呻く。 物陰に身を隠し、降り注ぐ銃弾を回避する。 数発体を掠めるが、出血も少ない。 物陰から差し出した鏡で対象の位置を確認する。 正面に二人、コンテナの左上に一人。 腰に着けたホルスターから拳銃をもう一つ取り出し、タイミングを計って物陰から飛び出す。 体勢は低く保ちつつ、正確かつ迅速に対象に銃弾を叩き込む。 コンテナの上から呻く声、落ちる対象。 正面の二人も同じだ。 「――面倒臭いな。」 増援に気付き、青年は物陰に隠れながらコンテナの隙間を縫うように走った。
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