恋の予感

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屋上は誰もいなかった。 誰もいないかわりに、春の終わりを告げる風がひゅーっと吹いた。 「あー寒い」 空は青空なのに、どうして私の心は曇り空なんだろう? 「なんで、あんなことしちゃったかなぁ・・・」 そしてまた独り言を呟いたあと、なぜか涙が出てきた。 「どうして涙なんか出るの・・・?」 目の前のものが歪んで見えてくる。 最初はぽとりぽとりととぎれとぎれに出てきた涙が、最終的には大粒の涙になっていた。 スカートが湿って気持ち悪い。 泣き終わった頃、空はほんのり茜色に染まっていた。
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