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ざくざくと山道を進む足音は四つ。
先頭を行くのは、セルン国北方領の軍隊を統率している将軍、ダム・ウィグル。
続いて、その将軍が最も目をかけている若い兵士であるカーリズ・ルブラ。
その後を自身の身の丈にあった剣を携えた美丈夫、レオル・C・ティエラ。
殿はビクビクしながらついてくる優男のアス・シューマン。
目的は、山の奥深くに住み着いてしまったという盗賊紛いの連中の討伐である。
暫く進んで、ダムが足を止めた。
「どうした?」
「お静に。話し声がします」
全員が口を噤み、耳を澄ませる。
「これは?」
「それは二、三日干して煎じれば腹薬になる。下り腹によく効くぞ。そのまま摺ったもんは糞詰まりにも効果ありだ」
「こっちは?」
「それは、そのまま揉んで傷口に貼ると治りが早い。ランコの国にもあるだろ、似たようなもん」
「あるけど形が全く違う。覚え直さなきゃ」
「そっか。じゃあ、今度薬草辞典盗ってきてやろうか?」
「こっちの字は読めないって言ったでしょ。それに、盗みは以っての外だとも言ったはずです」
「いてっ」
会話を聴く限り、盗賊とその仲間のようではあるが、どうにも様子が可笑しい。
「ランコ、こっちだって説明しただろ。孤児の俺達には、後ろ盾がねぇから、働きたくても向こうが雇ってくれねぇ。悪いことだってのは百も承知してる。でも、なんの保証もねえ俺達が遣れることっつったら、こんなことしかねぇんだ」
男の方が捲し立てると、女の方は黙り込んだ。
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