初春大月(ハツハル ノ オオツキ)

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「隠れてる奴も出て来て貰おうか」  レオルは短く息を吐き 「大将、カーリズ、アス。三人共出て来てくれ」  と己の後ろに呼びかけた。  草を踏む音が三つ、レオルの側まで来た。  一斉に取り囲まれる。 「俺達をその人数で討伐にでも来たか。嘗められたもんだな。しかも女を狙うなんて卑怯なまねしやがって」 「それについては詫びる。だから薬を差し出したんだ」 「傷が残ったら、どう責任とるんだよ。嫁入り前だぞ」 「それなら、俺がつ……」  レオルの言葉を遮るように、アスが声を張り上げた。 「レオル様! 安易にそのようなことを口になさらないで下さい! どこの誰とも解らないような者を、貴方の側に置けるわけないでしょう!」 「別に、責任なんて取らなくていい。私は一生独りで居るから」  どこか諦めの混じったような声音で、女が呟く。 「ランコ」 「こんな可愛くもない女、娶るような男は居ないでしょ」 「んなことねえよ。エーリアが話してたんだぞ。ランコなら俺の二人目の妻に迎えても文句言わないって」 「駄目だよ。私は、汚いから」  まだ痛むであろう傷口を押さえ、立ち上がる女。
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